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史克威尔艾尼克斯谈举办总额10亿日元游戏竞赛的意图与评审标准

賞金総額10億円のゲームコンテストをスクウェア・エニックスが開催する理由。齊藤陽介氏と時田貴司氏に狙いと審査基準,求めるクリエイター像を聞く[インタビュー]

AI 导读

史克威尔艾尼克斯宣布2026年12月15日开启总额10亿日元的 SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026 报名,最优秀奖3亿日元。4Gamer 采访齐藤阳介与时田贵司,二人说明举办缘由是借外部创意催生新IP,并解释评审重新規性、独創性、娯楽性、完成度且未完作品可投。

正文

 スクウェア・エニックスは2026年12月15日,ゲームコンテスト「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」の応募受付を開始する。これはジャンルや既存の枠組みにとらわれることなく,独自のアイデアで新しい「面白さ」を形にしようとするクリエイターを応援するプロジェクトだ。
 今年5月の発表時には,最優秀賞が3億円(1作品),傑作賞が1億円(4作品),優秀賞が3000万円(10作品),総額10億円という破格の規模が注目を集めた。

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 4Gamerでは,同社の執行役員 エグゼクティブ・プロデューサー 齊藤陽介氏,クリエイティブスタジオ5 プロデューサー/ディレクター 時田貴司氏にゲームコンテストを開催するに至った経緯や狙いについて,話をうかがった。

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大企業から生み出しにくくなった

新しい発想のゲームを世界へ

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,賞金総額10億円,最優秀賞3億円という前代未聞のゲームコンテストの開催に至った経緯から教えてください。

齊藤陽介氏(以下,齊藤氏):
 御存じのとおり,近年はインディーゲームがものすごく元気ですよね。
 私はエニックスの出身で,当時は外部のクリエイターの方々とゲームを作る機会が多かった。そしてエニックスは1980年代にコンテストを実施し,堀井雄二さんや中村光一さんといった素晴らしいクリエイターを輩出していました。

 そこで,勢いのあるインディーゲームと,当時のようなコンテストを今の時代にマッチさせれば,新しいクリエイターを生み出せるのではないかと考えたんです。

 賞金に関しては,企画書ベースやリクルート的な意味合いがあるコンテストだと数百万円から1000万円というケースが多いですね。ただ,弊社の場合は最終的に商品化して,クリエイターの皆さんが世界に羽ばたけるチャンスを作りたいという思いがあり,この金額に決定しました。

齊藤陽介(さいとう ようすけ)氏:スクウェア・エニックス執行役員 エグゼクティブ・プロデューサー。「NieR」シリーズや「ドラゴンクエストX」などを手掛け,数々の話題作を世に送り出してきた
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4Gamer:
 スクウェア・エニックスといえば,世界的にもゲーム業界の大手です。こうした大きな資本を持つ企業が,なぜ外部からアイデアを求める必要があるのか,という意見もあります。

齊藤氏:
 弊社としても,「FINAL FANTASY」や「ドラゴンクエスト」だけを作っていればいいというわけではありません。当然,「パラノマサイト」やHD-2Dといった新しい挑戦を行っています。

 ただ,ゲーム会社にとって,新しいIPを作り続けることは大きな命題です。社内に限らず,外部に優秀なクリエイターがいればタッグを組んでゲームを作るという,エニックス時代からのアウトソーシングのノウハウもありますから,弊社として違和感はないです。
 私自身,ヨコオタロウさんやプラチナゲームズさんをマッチングして,「NieR:Automata」を作った経験がありますし。

時田貴司氏(以下,時田氏):
 僕はスクウェアの出身で,ずっと社内スタジオでゲーム開発に携わってきました。スクウェアには「FINAL FANTASY」を作ったら,次は違うものを――たとえば「サガ」や「聖剣伝説」「半熟英雄」を作ろうというカルチャーがあったんですね。
 そのスクウェアとエニックスが合併し,今では大企業になりました。企業価値をキープし,何代にもわたって「FINAL FANTASY」や「ドラゴンクエスト」のようなIPを継承していくことは,我々の重要なミッションです。

 半面,新しいもの,今の時代を反映したものを生み出すことにも取り組んでいかなければいけません。それを社内だけでするのではなく,若い人やインディーゲームクリエイターを対象にして,大きなコンテストを思いっきりやったらどうかと考えていました。

時田貴司(ときた たかし)氏:スクウェア・エニックス クリエイティブスタジオ5 プロデューサー/ディレクター。「LIVE A LIVE」や「クロノ・トリガー」など,数々の名作RPGの開発を牽引してきたゲームクリエイター
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4Gamer:
 なるほど。それがなぜ,このタイミングに?

時田氏:
 十数年前であれば,フィーチャーフォンやスマートフォン,あるいは携帯ゲーム機向けにいろいろトライできたのですが,今ではPCかスマートフォンをメインのプラットフォームにした,カッチリしたゲームを作ることが求められがちです。

 加えて,「もっと気軽に」「こんなのでいいじゃない」というゲーム作りが,ビジネス的に成立しにくくなりました。
 今の若い人たちならではの発想と技術,そして楽しみ方も含めて,彼らでなければ絶対に作れない,今だからこそ生まれる面白いゲームをぜひ見てみたい,という気持ちもあります。

齊藤氏:
 私が最初にゲームをプロデュースした1990年代後半は,ゲームを作れる人材がまだ少なかったんですね。今は小学生でもゲームを作れる時代になり,私たちがコンタクトを取るべき人材の数が圧倒的に増えています。
 今年のBitSummitにも参加したのですが,想像以上の少人数で作られたハイクオリティなタイトルだらけで,これはしっかり自ら足を運ばなくてはならないと実感しました。

 その一方,「世界に進出したい」と考えている皆さんが私たちのコンテストに応募してくれる,つまり私たちとパートナーシップを結んで「世界を獲りたい」と考えてくれるのであれば,そこはしっかりと実現したいと思っています。
 やはりビジネスとして,お互いのメリットをきちんと生み出したいですから。

4Gamer:
 コンテストの発表後,御社のスタッフからはどのような反響がありましたか。

齊藤氏:
 やはり,社内でも注目はありましたね。「うちもこういうのやるんだ」という声もあったりして。

本質的な面白さが伝わるなら

未完成でも応募できる

4Gamer:
 少々気になったのが,コンテストの審査基準です。公式サイトのFAQには「完成度が100%に満たなくても『新規性』『独創性』『娯楽性』が良ければ最優秀賞に選ばれる可能性はあります」と記載されています。完成度の解釈について,説明をお願いできますか。

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齊藤氏:
 まずご理解いただきたいのが,商品としての完成度とコンテスト応募時の完成度は別だということです。受賞作品を商品としてリリースするにあたっては,しっかりQA(品質管理)を行い,弊社のほかの作品と同等の完成度が求められます。
 一方,コンテスト応募時の完成度は数字にするとなかなか難しいのですが,「ゲームの新規性,独創性,娯楽性をきちんと評価できる状態になっていること」という意味で補足しています。

 言い換えると「『自分の作りたいゲームは,こういうゲームです』『遊ぶ人の気持ちを考えたとき,ここまでできていれば大丈夫だと捉えている』ということを,しっかり意識してください」ということなんです。
 いくら「頭の中では,こうなっています」と主張しても,遊ぶ側や審査する側には伝わりません。「今は何%までできていて,あと何%で完成です」と,しっかり自分の中でマイルストーンを意識できているかどうか。これは結構重要だと捉えています。

時田氏:
 たとえば「全100ステージのうち,10ステージまで遊べる状態。それでも,このゲームの面白さは分かります」というのであれば,十分審査の対象になります。したがって,単にゲームボリュームや工数として何%まで完成しているかではなく,「そのゲームの内容に応じて,面白いかどうかを判定できる状態」と解釈していただくと分かりやすいかなと。

齊藤氏:
 「このゲームの特徴は,ステージ数が365であること」と言われると,審査する側としては「365ステージまで遊ばないと,本質的な面白さが分からない」と捉えます。その場合は,たとえばグラフィックスやアセットが仮でもいいので,きちんと365ステージを揃える必要があるわけです。

時田氏:
 「エンディングまで100時間。感動的なストーリーの超大作RPGです」と紹介されて,1時間しか遊べなかったら面白さは伝わりませんからね。
 我々の議論の中で出た齊藤の表現で理解しやすかったのが,「一口食べて,何のカレーか分かる」という言葉です。

齊藤氏:
 「『中に入っている具が大事』というのであれば,最終形に入る具材は最低限入っていないとダメ」もそうですね。もちろん,100%完成していたら何も言うことはないんですけれども,なかなかそうはいかないでしょう。
 「ここまでできていれば分かる」「ここを見てほしい」という部分がしっかりできていれば,それ以外の部分は多少目をつぶるというイメージです。

4Gamer:
 それでは,コンテストに応募してもらいたい対象についても教えてください。やはり個人開発者や少人数のチームを想定しているのでしょうか。

齊藤氏:
 個人開発者や小規模チームはもちろん,現役のゲームデベロッパでも構いません。
 最近,デベロッパさんから「アイデアを温めているゲームを作りたいのに,なかなか自社のラインが空かない」という話をよく聞きます。そうしたアイデアを形にして,応募してもらえるのも大歓迎です。
 いわば「スーパーアマチュア vs. プロ」みたいなコンテストになる可能性もありますね。

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時田氏:
 今やゲームを作った経験がなくても,ミドルウェアやAIがサポートしてくれますよね。
 たとえばプロの建築家であれば,建築をテーマにしたゲームを作るようなこともできると思います。「風が強いときに,クレーンをどう動かすか」といった専門家の発想が,新しいゲームの面白さにつながることもあるので,そういったチームの作品もすごく楽しみにしています。
 小学生の発想も見てみたいですね。どんな作品がどのくらい来るのか,まったく想像がつかないです。

4Gamer:
 応募作品のなから最優秀賞1作品,傑作賞4作品,優秀賞10作品,計15作品を必ず選出すると明言されています。

齊藤氏:
 「どうせ『該当なし』でお茶を濁すんだろう」と思われるのが一番悔しかったので,そこは「『該当なし』はない」と最初に宣言することにしました。

時田氏:
 賞金額と「絶対に選ぶ」というのは,本当に覚悟の表れなんです。

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齊藤氏:
 もし15作品しか応募がなかったら,全部受賞。そんなことにはならないと思いたいですけど(笑)。

時田氏:
 チャンスだと思ってくださいって感じです(笑)。

4Gamer:
 応募できるのは,完全に未発表の作品に限るのでしょうか。

齊藤氏:
 詳細は公式サイトの規約を確認いただきたいのですが,発表済みでも大丈夫です。最近だと,SNSに自分のゲームの開発進捗を投稿している方もいらっしゃいますが,このケースはOKです。
 一方,未発売であっても,ほかのコンテストなどで受賞歴がある作品は,申しわけないですがお断りすることになります。

4Gamer:
 デモを無料公開しているようなケースは?

齊藤氏:
 どこで公開しているか,ですね。たとえば,Steamでアーリーアクセスの状態になっていて,将来的に販売することが前提になっている作品はお断りすることになるかと。
 一方,同人レベルで体験版を無料配布しているケースはOKになると思います。

時田氏:
 開発中の段階にあり,BitSummitのようなインディーゲームイベントに出展している作品もOKです。

4Gamer:
 となると,相当数のタイトルが応募資格を満たしていることになりますね。

時田氏:
 そうなんですよ。「1万,来たらどうする?」って話をしています(笑)。
 今は誰でもゲームを作れる,そして完成度を問わないうえに賞金額も大きいコンテストとなると,応募数はまったく見当がつきません。
 審査システムにも関わっているんですが,チーム一同,戦々恐々としています。

齊藤氏:
 審査期間は3か月強を予定していますが,予想を超える応募数になった場合には,もう少しお時間をいただくことになるかもしれません。

バランスのとれたゲームが

受賞するとは限らない

4Gamer:
 一次審査の映像審査と二次審査のプレイアブル審査について,どのような評価方法を予定していますか。

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時田氏:
 審査員の人数は公表していないのですが,一次審査は一般のゲームユーザーのみとなります。評価項目は先ほど齊藤が話したとおり,新規性,独創性,娯楽性,完成度の4つです。

 二次審査では,そこで選出された作品を弊社の社員と一般の方が企画書を見つつ,実際にプレイします。人数の比率に関しては,まだ検討中です。
 なお,弊社側はクリエイターだけでなく,さまざまな部門のスタッフを予定しています。

 一次審査の評価はあくまでも「面白そう」「完成度が高そう」です。二次審査になると,企画書に書いてある要素がしっかり実装されているか,本当に面白いかを評価することになります。
 僕もいろいろ審査員を務めてきましたが,全部触ってみたあと,本当に面白いものはもう一度遊びたくなるんですよね。

4Gamer:
 では,三次審査はいかがでしょう。

時田氏:
 三次審査では,主に企画書や試遊によって評価します。
 また,パートナーとして,最後まで作りきれるかを見極めたり,どういった形で進めていくかを交渉したりする個別面談も行う予定です。

齊藤氏:
 弊社も本気ですから,覚悟を持ってやっていただけるか。精神論じゃないですけれども,きちんとしたパッションがあるかどうかも重要になります。

時田氏:
 おそらくですが,1本の作品に対して,4〜5人の弊社プロデューサーが「オレが売りたい!」と手を挙げることもあり得ると思うんです。作品とプロデューサーの面白い組み合わせも出てくるので,マッチングの妙に期待したいですね。

 また,審査に漏れてしまったとしても,「この作品のクリエイターに声をかけてみたい」「そのアイデアにアドバイスを提案したい」,そんなケースも出てくると思います。むしろ,そういうケースが多いほど,今後の可能性が広がると捉えています。
 その意味でも三次審査に残すタイトル数はまだ決めきれていないんですけれども,我々ができるアドバイスは面談で可能な限り,お伝えしたいしたいと考えています。

齊藤氏:
 たとえば16番目に評価された作品と28番目に評価された作品,それぞれのクリエイターをマッチングして,面白いゲームを生み出すハブみたいになるのもいいかなと思いますね。

時田氏:
 漫画でいうと,原作者と作画担当を組み合わせて,編集者がプロデュースするような形ですね。

 実際,過去のFFシリーズでスタッフを募集したとき,プランナーの応募がものすごく届いたんです。ちょうど僕のプロジェクトも新しい勢いのあるプランナーを探していたので,残念ながらFFでは選ばれなかった方の中から声をかけて来てもらったら,すごく優秀だったことがあります。
 誰が選ぶかによるので正解がないし,本当に縁なんですよ。会社の将来を考えるなら,こうしたマッチングの可能性は大きいと捉えています。

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4Gamer:
 スクウェア・エニックスとしても新しい才能に出会えるメリットに期待していると。

齊藤氏:
 もちろんです。あとはやっぱり,日本のクリエイターに頑張ってほしいですね。
 世界的にヒットしている日本のインディーゲームも出てきていますが,可能性を秘めた人材はまだまだいるはずです。
 でも,多くのゲーマーに見てもらえる,手に取ってもらえるタイトルはほんの一握りでしかなく,そこは本当に運なんですよね。

 手前味噌ではありますが,スクウェア・エニックスのコンテストで受賞したというだけで,圧倒的に露出機会が増えると思います。それをメリットと捉えてくれた人が,「よし,やってやるか」と応募していただけると非常にうれしいです。

4Gamer:
 三次審査の審査員は,事前に公表されるのでしょうか。

時田氏:
 現状は検討中ですので,お答えできかねます。申し訳ありません。

4Gamer:
 三次審査に残った作品は発表しますか。

齊藤氏:
 それも検討している段階です。というのも,選ばれた作品とそうでない作品が明確になることの影響をしっかり考えたいからです。
 当然,受賞作品は発表しますが,そうでない作品の情報を出すべきかどうかは,おそらく最後まで議論することになります。

時田氏:
 僕が審査で参加させていただいた「神ゲー創造主エボリューション」では,ファイナリストを発表しているんですね。そこから各作品にフィードバックやメンタリングをして,半年間のブラッシュアップをするので,発表には意味があります。
 一方,我々のコンテストではある程度完成したものを評価することになるので,扱いが難しいと考えています。

齊藤氏:
 たとえば,クリエイターに確認したうえで,もう少しで受賞できた作品として,何らかの機会に紹介することはあるかもしれません。このコンテストは今後も続けていきたいと思っているので,そうした機会によって応募してくれる方が少しでも増えるのであれば,やる意味があるかなと。
 もしクリエイターご本人から「三次審査まで残ったことを公表してもいいですか」と聞かれたら,「どうぞ!」と答えると思います。

4Gamer:
 4つの評価軸を中心に,バランスがとれている作品が評価されやすいと思いますか。

齊藤氏:
 4つ全部が100点だったら,もちろん何の問題もありません。
 一方,ほかは及第点だけれども,一点突破で150点が付くようなタイトルは「大きく化けるかもしれない」ということで,全部100点のタイトルより評価される可能性は十分にあります。

時田氏:
 また料理の話になりますが,バランスが良ければ美味しいというものではないのかなと。「フレンチのフルコースより,ラーメン二郎のエグい豚のほうが好き」なんて意見もありますし。
 ゲームも嗜好品ですから,どこにエッジが利いてるか,誰に刺さるかによって,評価は全然変わります。

齊藤氏:
 審査システムについては,10点満点の場合,6点や7点に集中してしまうのではないかと心配していたんですが,私と時田でシミュレーションをしたときは,それぞれ違う点数になりました。
 現在は営業や宣伝,法務,広報といった,さまざまな職種のスタッフにも試してもらっているところです。あまりにも同じ点数に集中するようだと,そこはまた考えないといけないなと。

時田氏:
 今考えているのは,点数の絶対評価ではなく,文言で評価して内部的に数値を持たせる。そして,それを合算する形です。
 日本人は10点満点だと5〜6点を普通として,そこからプラスマイナスで考えがちです。やっぱり,いいところを評価したいですから,単純に1,2,3,4,5……ではなく,たとえば1,4,7,10,20……のように傾斜を極端にするといったパターンも含めて,最適な審査システムを検討しているところです。

齊藤氏:
 小学校の先生が使う「大変よくできました」「よくできました」といったスタンプのような感じで評価してもらい,実はそれぞれに数字が設定されているという形ですね。

4Gamer:
 なるべくプラスの部分を評価するという意味で,4つの評価軸を重視していくわけですね。

齊藤氏:
 AmazonやSteam,Metacriticなどのユーザーレビューは「世の中の人たちがそう感じている」ということが見える,一番分かりやすい指標だと思います。規模感は違えど,それらに比較的近い形の評価軸をきちんと作りたいと考えています。

「金を出すから口も出す」はやりたくない

4Gamer:
 受賞した作品には,スクウェア・エニックスが開発やパブリッシングの面で協働し,バックアップするとのことですが,具体的に教えてください。

齊藤氏:
 弊社によるバックアップの筆頭は,ゲームを販売することです。販売前の段階では,しっかりQAをして,世界で売れるタイトルであればローカライズも手厚くサポートします。
 「ゲームを作りきる」という部分に関しては,技術的なサポートも提供します。
 その一方で,「金を出すから口も出す」みたいなことはやりたくないので,クリエイター自身が考える最終形まで「頑張って仕上げてください」とお願いすることになります。

時田氏:
 「現状,音楽は仮素材。できれば作曲家の〇〇さんに作曲をお願いできないか」といった相談があれば,できる範囲でお伺いを立てることもできるでしょう。そういったプロデュースのお手伝いもできるかなと。

齊藤氏:
 極端な例を挙げると,ゲームデザインがすごく良くて,レベルデザインもしっかりしている。でも見た目が地味,なかなか手に取ってもらえないかもしれないという作品に対して,「弊社のキャラクターを使うことで,懸念を解消できるかもしれません」と提案することはできます。
 ただ,クリエイターご本人が「自分のキャラクターがいい」と判断するのであれば,弊社はその意思を尊重するということです。

時田氏:
 いろいろなケースが出てくると思いますが,そこは柔軟に対応していきたいですね。

齊藤氏:
 ゲームが世に出て,ある程度のヒット作になれば,コミカライズもできるし,サウンドトラックも出せます。世界観がしっかりしていれば,舞台化やノベライズ,あるいはコミックからのアニメ化といった可能性もある。
 そこは弊社の強みですから,販売中のタイトルと同様に展開できるとご理解いただいて構いません。

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4Gamer:
 受賞作品のIP(知的財産)はどのような形になりますか。

齊藤氏:
 クリエイターさんとの共同著作にする予定です。権利の割合は,基本的に1:1になると捉えてください。

4Gamer:
 少々話を遡りますが,今回のコンテストは個人開発者もゲームデベロッパも同じ土俵で競うことになります。後者のほうが有利になるのかなと。

齊藤氏:
 いや,「めっちゃカメレオン」の大ヒットを見ると,そうとも言えないですよ。

時田氏:
 プロであるがゆえに踏み出せないコンプライアンスの線引きや,レーティングに対する意識もありますからね。もっとも,振り切ったゲームはそれを求めている人には刺さるので,そこまで踏み出せる強さは個人の方にこそあると思います。

齊藤氏:
 一方,現役のデベロッパならではの強みはあります。社内に開発環境が整っていて,ライブラリも含めてカスタマイズされたゲームエンジンが使える。
 ただ小回りが利くかどうかという話になると,圧倒的に個人の方が有利でしょう。自分の裁量だけですべてを判断できることは,ゲーム制作において重要ですから。

時田氏:
 その意味では,新規性や独創性に関しては個人開発や少人数のチームにアドバンテージがあるかもしれません。

4Gamer:
 経歴や年齢,ゲームのジャンルもバラバラのクリエイターによる作品を審査するのは,応募する側も評価する側も大変ですよね。

齊藤氏:
 もちろん大変です。しかし,今のマーケットがそういう状態なので,そこはまったく同じ土俵で勝負してもらいます。
 インディーゲームという言葉も,すでに概念的なものになっていますよね。「Clair Obscur: Expedition 33」は本当にインディーゲームなのか,という議論もあります。
 ですから,今回はインディーゲームではなく,「個人クリエイターの方も応募できます,プロアマ問いません」という表現にしています。

4Gamer:
 受賞作品のクリエイターに対するキャリアサポートはいかがでしょう。

齊藤氏:
 完成した作品に結果が出れば,社内で「次も一緒にやりたい」と声があがりそうですよね。
 そこで,個人や自分たちのチームでやっていくことを選ぶケースもあるでしょう。でも,我々としては1回きりで終わらせたくない,と思っています。

時田氏:
 漫画家にしろ小説家にしろ,作家性のある人物は何本も作品を世に送り出すことで存在を確立していきます。手塚治虫さん然り,筒井康隆さん然り。「何をやっても,この人の作品になる」ところまで行き着くと,本当に強いと思います。
 今,インディーゲームを作っているクリエイターはそういう活躍をしています。個人や小規模チームであるがゆえの独創性と,新しいことにトライしたときのインパクトが,クリエイターの作家性につながっていると感じています。

齊藤氏:
 「自分もゲームを作ろう」と思ってくれる,若い世代のクリエイターが出てくることに期待しています。
 もちろん若者だけでなく,たとえば定年を迎えて余暇ができた方がゲーム制作にチャレンジして才能を開花させる,そんな事例もゼロではないと思います。
 「小学生 vs. シニア」みたいな戦いにも期待が高まります。

4Gamer:
 応募作品について,注意すべきポイントがあれば教えてください。

齊藤氏:
 過度な性的表現や暴力表現などは,弊社によるパブリッシングが難しくなる可能性があります。いわゆる公序良俗に反しない,常識の範囲内で「スクウェア・エニックスのブランドから出る」ことを踏まえていれば大丈夫です。

時田氏:
 ともあれ,応募を迷っているのであれば,ぜひ出してほしいです。私たちは良かれと思い,賞金額を高く設定しているのですが,逆に「自分には荷が重い」と気後れしてしまう方もいらっしゃるんですよ。

4Gamer:
 と,言いますと。

齊藤氏:
 とくに専門学校の先生の中には「うちの生徒には身の丈に合わない」とおっしゃるところもあるんですが,そんなことはありません。
 私たちだって,ゲームを作っている最中には「本当に面白いのか」と迷うことがあります。自身の作品を客観的に評価してもらえる場だと思って,ぜひ応募してみてください。
 「賞金額が大きいから,どうせ出来レースなんでしょ」みたいなことを言われたりもしますが,そんなことは決してありませんので安心してください。

時田氏:
 繰り返しになりますが,どれだけ応募があるのか,どんな作品が来るのか,まったく読めません。審査は非常に大変ですが,やっぱり未来は分からないから面白いのであって,楽しみのほうが勝っています。
 ゲーム作りは初めてという方も,気軽に応募してもらえると嬉しいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

※インタビュー収録:2026年9月30日
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来源:4Gamer.net · 4gamer.net